これまで何回か触れてきたディズニーワールドで働くキャストが住むDisney Housingの寮。
部屋のメンバーはDisney Housingによってランダムに振り分けられ、3~8人のキャストとルームシェアをしながら過ごします。
世界各国からやってくるキャストとの共同生活を送ることが出来る、この寮生活。
親友と言える程、素晴らしい友達も出来ることもある反面、異文化や寮内でのトラブルなど大変なことも沢山あります。
そして時には寮のメンバー解散や引っ越しなんてことも…。
そして私のルームメイトも例外なく、引っ越しをしてしまった人がいました。
今回は、同じCRプログラムに参加していた日本人6人とルームシェアをしていた筆者のルームメイト引っ越し事件の体験談を書こうと思います。
ディズニーキャスト寮のメンバーについて
私が最初にルームメイトになったのは日本館で働く同期6人。
いわゆる日本人部屋でした。
日本人部屋になることも多いと事前にCRプログラムに参加していた人のブログを読んで知っていたことから、
外国人キャストと一緒になる国際部屋になることは私自身あまり期待していなかったのですが、
ルームメイトの何人かは国際部屋でなかったことに対して少なからずガッカリしていたようでした。
部屋は3部屋あり、2名ずつのルームシェアをしながら過ごすことになりました。
引っ越し事件に至るまでの経緯
キャストが過ごすディズニーの寮はいくつかあり、私たちが住むことになったのは1番古い寮のVista Wayという寮でした。
この寮、思ったよりも広くて綺麗だったのですが、壁が薄い!
部屋の中にいてもキッチンでルームメイトがキャベツをちぎる音が聞こえるほど…笑
かなり生活音が筒抜けの状態で生活していました。
私のベッドルームが同じ部屋のルームメイトは私が部屋にいる時は気にかけてくれ、生活リズムも大体同じでストレスはなかったのですが、
6人のうち1人がいわゆるパーティガール(夜遊び等をよくするタイプの子)。
夜中に帰って来てはドア・戸棚など容赦なくバッタバタと音を立て、
ベッドルームにいたっては寝ているルームメイトをよそに部屋の電気をつける…という有様。
もちろんそんな中で熟睡できるはずもなく、日を追うごとに彼女のルームメイトはノイローゼ状態に…。
それでも数か月我慢していましたが、ついに彼女も意を決して
キャスト寮の管理をしているDisney Housingに引っ越しをしたいとの申し入れをしました。
ところが、それを聞きつけたルームメイト(パーティガール)。
何故か「自分が引っ越しする!」と言って、それに乗っかった別のルームメイトも引っ越ししたい!と言い出す事態になりました。
キャスト寮の引っ越しミーティングで放たれた衝撃の一言
Disney Housingに引っ越しをする旨をルームメイトが伝えた所、翌日に寮での緊急ミーティングが行われることになりました。
この寮の緊急ミーティング。
割と寮のルームメイト同士でのトラブルがあったりすると頻繁に行われるものなのですが、
日本館の仕事のシフトに関係なくDisney Housingに決められた時間でおこなわれ、
Disney Housingの人も含めてルームメイトで話し合われます。
引っ越しする際にも引っ越しが確定する前にDisney Housingキャストを含めて話し合いになるのですが、
まずはその前にルームメイト同士で話し合いをするようにと言われました。
私は嫌だった過去の出来事は忘れるというお得な性格の為、あまり詳しい内容は覚えていないのですが、
一番言われて衝撃を受けたのは、問題のパーティガールの発言ではなく、
彼女に乗っかって引っ越しをしたいと言ったルームメイトでした。
私の寮ではいくつか共有で使っていた消耗品があり、月何ドルか皆で出す消耗品用の共通のお金から気付いた人が買う…
というようなルールをつくって生活していました。
ただし、それが不公平にならないように、買った個数はそれぞれ“見える化”して壁に貼っていて、
プログラムが終わるまでにそれぞれ買い出し個数も同数になるように揃えようという取り決めをしていました。
その引っ越しを訴えた子は、とても気の回る子で例えば消耗品の予備の予備を買うくらいの万全の策を取るタイプでした。
私を含め、他のルームメイトは買ってきた時にはいつもお礼を言っていましたが、
彼女は自分以外のルームメイトが自分よりも消耗品を買わないことに不満があったようでした。
他のルームメイトは例えば今使っているものが残り少ないと感じたら、買う。といった価値観だったので、相違があったようです。
そこで言い放たれた一言が
同じ日本人とは思えない。
でした。
他の話も色々された上でのこの言葉だったのですが、この話と一言が自分にとって衝撃的でした…。
彼女の言葉の裏に隠れた日本社会特有の価値観
普段の彼女は比較的ルームメイト全員とトラブルなく過ごしていたように見えていたのですが、
こういった事を
普段の中で話せるくらいコミュニケーションを取っていくことが出来れば良かったのかな、
こんなことを思っている事に気づけなかったのは悪い事をしたな…
と反省したと共に、
どこか引っかかるような判然としないような気持ちになったことをよく覚えています。
一応、理解に相違があったところは弁明したり、反省の旨は伝えたものの、
結局はDisney Housingの人を交えての話し合い(もちろん英語)をしても解決ならず、
ルームメイトの何人かは他の部屋へ引っ越すことになりました。
ちなみに引っ越しをする(寮を自分の希望で出ていく)場合は200ドル程度お金がかかったと思います。
この判然としない気持ち、残ったルームメイトたちも同じように感じていたようで、
これは「日本人として」ではなく「個人的な」価値観の違いが原因なのではないか。という話をしていました。
けれども、どうして同じ「日本人とは思えない」という結論を出されてしまったのか。
しばらく考え込んでしまいました。
彼女の引っ越しをした真意は、
買い物のエピソードが原因なのか、日本人部屋なのが嫌だったのか、はたまたパーティガールと同じ寮だったのが嫌だったのか、わかりません。
ただ一つ言えそうなのは、
日本人ではない人がルームメイトだったら、
買い出しに関しては今回ほど不満に思ったり言ったりしないのではないのだろうか。
ということです。
日本社会でも問題視される同調圧力
日本文化には学校や職場などグループで大多数の意見や強い意見があると少数派の意見を言いづらくなる事があります。
逆に大多数の意見と違うことがなされると、それを改善するように求められる雰囲気になったり…。
よく、仕事をしていて自分の仕事は終わったのに、周りは残業していて帰りたいのに帰りづらい…。
そこで帰ると後から文句を言われるんじゃないかと不安になる…。
といったシチュエーションも語られますが、それも同調圧力のうちのひとつと言えると思います。
そして日本館での日本人キャストのコミュニティにはこの同調圧力的な、
「私たちはこう思ってるんだけど、あなたも同じ意見よね?」
といったような雰囲気が少なからずありました。
帰国してから、この「同調圧力」という単語を聞いて、
まさに彼女の発言はコレから来ていたのか!
と思いました。
海外で感じる日本人の同調圧力
海外で何回か暮らしたり、また海外経験のある友人と話していて思うのが、
海外の日本人コミュニティに身を置くと、かなりの確率でこの同調圧力を強く感じます。
海外という日本とは全く違う文化の中にいると心細く感じるのか、「仲間意識」が強くなってしまうのか
同じものを求めて日本人だから同じはず。
日本人だったら私と同じ意見のはず。
といった思考に陥りやすくなってしまうのだと思います。
彼女に限らず、私を含めて誰しもが無意識のうちにそうなってしまうことがあるのかもしれません。
例えばルームメイトの問題にせよ、人への気遣いの仕方にもそれぞれ違いがあります。
今回の出来事に関しても、どちらが悪いということではなく、
たまたま彼女の気遣いと私たちの気遣いの仕方に相違があったのだと思います。
同じ日本文化で共通した認識がある程度あったとしても、
やさしさの表現する方法も、そのやさしさを感じる認識の仕方も
全く日本人全員が同じことはありません。
それを理解した上でお互い認めることが大切なのではないかなと
この出来事から学びました。
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