日本で絶大な人気を誇る、東京ディズニーランドとディズニーシー。
その人気を支えているキャスト達ですが、日本とアメリカのディズニーではホスピタリティ/サービスにどんな違いがあるのでしょうか。
今回はアメリカのフロリダ州のディズニーワールドでキャストをしていた筆者が
日本とアメリカのディズニーでどんなところにホスピタリティの違いがあるのか考えてみました。
※筆者は日本でのキャスト経験はありませんので、ゲストから見た違いについて言及していきますので、もし違う部分があればぜひ教えてください。
日本とアメリカのディズニーワールドのホスピタリティを比較
ゲストとしてディズニーの各パークに身を置いてみると、そこまでホスピタリティに差を感じるところは少ないかもしれませんが、違うなと感じる点は以下の通り。
- キャストのゲストへの対応
- キャストのジェスチャーなどの違い
- 多様なゲストの受け入れ態勢
主にこの3点において日本のディズニーリゾートとの違いを感じました。
それでは各項目について詳しく説明していきます。
ホスピタリティの違い①ディズニーキャストのゲストへの対応
日本のディズニーキャストとアメリカのディズニーキャストを比較した時、
まず違いを感じるのはゲストとキャストとの距離感。
日本のディズニーキャストもゲストに対して
とてもフレンドリーで素晴らしいサービスだと感じますが、
アメリカのディズニーキャストの場合はゲストとの距離感がより近いように感じます。
考えるに、これはおそらく日本とアメリカの文化や言語の違いから来ているのではないかと思います。
英語にも「丁寧な言い方」というものはありますが、やはり日本ではゲストに対しては敬語を使いますし、英語ではよりカジュアルな印象を受けます。
またアメリカでは知らない人とおしゃべりを始めることも多く、
他愛のない世間話など、
いわゆる「スモールトーク」と呼ばれるものをする機会が日常の中でも多くあるため
日本でいうお客様と店員さんといった関係の会話というよりも
日常的な会話も多くゲストと繰り広げられる印象です。
この「スモールトーク」はアメリカで暮らす上で身につけておきたいもの。
詳しくはこちらで解説しています。
このことから、よりアメリカの方が距離感が近いなと感じる一因になっているのではないかと考えられます。
ホスピタリティの違い②ディズニーキャストのジェスチャーなどの違い
ディズニーワールドのキャストはジェスチャーや行動などでも共通して守っているルールなどがありますが今回はその中でも下の3つ紹介します。
- 指差しの仕方
- 子どものゲストへの対応
- ハンドジェスチャーについて
指差しの仕方
アメリカのディズニーキャストを見ていると、ある共通したジェスチャーをしていることが分かります。
それは方向などを指し示すときの指。
注目してみると、1本指で普段は指すところを中指と人差し指を付けて2本指で指し示すようにしています。
この二本指で方向を指し示すルールについては諸説あり、
- 人差し指だけで指をさすという行為が失礼と感じるゲストがいる可能性があるため
- 子どものゲストがより良く見えるようにするため
- ウォルトが元々2本指で指さすクセがあったため
など色んな理由がありますが、
メインは上2つのゲストへの心遣いの結果としての行動と言えるかと思います。
ちなみに筆者が働いていたエプコットのワールドショーケース(万博エリア的なところ)にある
日本館では、サービス自体がディズニーから委託されている米国三越が経営していたのと、
そもそもエプコットのワールドショーケースは各国を体験することに重きをおいていたため、
日本らしい5本指を揃えた形で方向の指し示しをしていました。
子どものゲストへの対応
子どもゲストへの対応は、ディズニーでは特に大切にされていることの一つ。
これは日本のディズニーキャストもやっているかもしれませんが、子どものゲストと話す際は、
必ず膝を曲げてかがんだ状態=子どもと目線を合わせて話すように教わります。
他にも研修では子どものゲストの頭は撫でないことを注意されました。
これは、子どもの頭には神様がいると言われている宗教があること、
そしてゲストによっては子どもに対してのリスペクトがない(ペットのように扱われている?)と感じる方もいるからとのことでした。
いずれにせよ、子ども達への配慮は本当にされているなと感じます。
またディズニーワールドで迷子を見つけた時、キャストはマネージャーに報告する為、
無線で知らせるのですがその時の迷子コールは“Lost Parents”と言います。
本来、迷子は英語で”Lost Children”と言うのですが、
そうキャストが言うことによって迷子になってしまった子ども自身が
「自分は迷子なんだ!!」と自覚してパニックになったりしないための隠れた配慮。
その為、迷子かな?というゲストを見つけても
”Did you get lost?”→(あなたが)迷子になっちゃったの?
とは聞かずに
”Did your parents get lost?”→ご両親が迷子になっちゃったの?
と聞くようにされています。
ハンドジェスチャーに関しても、キャストとして注意することはあります。
例えば「オッケー」と言うハンドサイン。
ディズニーワールドの場合、世界中からゲストがやってくるのですが、
特にブラジルからのゲストは多くいらっしゃいます。
そしてこの「オッケー」サイン、
ブラジルなどでの国では「お尻の穴」を意味するそうなのです。笑
その為、基本的にゲストに対してオッケーサインはしないよう注意していました。
ホスピタリティの違い③多様なゲストの受け入れ態勢
上記で述べたこととも重なる部分がありますが、とにかくディニーワールドは色んなゲストがやってくる場所。
国だけでなく、障害がある人やセレブリティと呼ばれる有名人、はたまた赤ちゃんからおじいちゃんおばあちゃんまで…!
その為、ディズニーワールドにはBaby Centerという、
赤ちゃんがご飯が食べられるよう簡単なキッチンがついた場所があったり、
障害のある子ども達に向けた専用のプログラムも数多く用意されています。
他にもディズニーキャストのネームタグ(名札)には
名前の下に、そのキャストの話せる言語と国旗が記されており、
世界中からやってくるゲストがそのキャストに自国の言葉で話せるようにといった
気配りがなされています。
ちなみに私が一番驚いたのは、電動車イス利用者の多さ…!
私自身は利用したことがない為、あまり詳しくはないのですが、
どうやらディズニーワールド内で足のわるい方などに向けて電動車イスの貸し出しをしているようでなのですが
なぜこんなにも電動車イス利用者が多いのか。
疑問に思ったため、現地キャストに聞いてみたところ
「太りすぎていて歩きたくない/たくさん歩けない人がかなり多いんだよ…」
というなんともアメリカらしい回答をしてくれました笑
真偽のほどはわかりませんが、
なにはともあれ、ディズニーワールドの多様なゲストの受け入れ態勢は目を見張るものがあります。
特に素晴らしいと思ったのは、難病のある子どもゲストたちへの専用のプログラムがあること。
ディズニーワールドのあるオーランドには
「Give Kids The World」(「子ども達に世界をプレゼントする」)という場所があり、
そこに招待されたゲストがディズニーワールドを始めとするアミューズメントパークに来れるものがあるのです。
私は残念ながら日程が合わず参加できませんでしたが、
これはボランティアとしてそこでキャストも参加出来るもので、ディズニーからキャスト宛にボランティア参加募集がかかっていたりします。
まとめ
日本のディズニーランド・ディズニーシーとアメリカのディズニーワールド。
もちろん共通点もあるものの、違うところもたくさんあります。
特に文化的な側面・多様なゲストの受け入れなどに対する心遣いや意識は
見習いたい部分が多いなと感じました。
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