トランプ大統領のメキシコとの国境に壁を作る発言からもわかるように、アメリカでは未だに人種差別が根強く残っています。
特に最近ではメキシコなどを始めとする南米の人に対しての差別が目立っているように感じますが、黒人差別も未だにありますし、
私達、黄色人種・アジア人に対する差別もあります。
そこで今回はアメリカでの1年の留学、1年のディズニーワールドでの就業経験のある筆者が実際に感じたアメリカでの日本人差別について
自らの経験談を交えながら書いていこうと思います。
そもそも日本人ってアメリカで差別されるの?
黒人差別、ヒスパニック系の人種差別と比べるとアジア人への差別はあまりないように感じるかもしれませんが、
実際アメリカに住んでいた身からすると「日本人への差別はある」と言えます。
私は留学していた時は、西海岸、ディズニーワールドはフロリダ州にあったので東海岸に住んでいたのですが、どちらの地域でもアメリカ人による人種差別は感じました。
留学していた西海岸は親日家が多いとされていて、人種的な問題で取り立てて酷い経験をしたことはありませんでしたが、
当時は現地の高校に通っていたので、一緒に通う生徒の中でも差別的な視線を送ってくる人も少なからずいました。
留学時代に感じた人種差別
私は高校生の時に留学をしていたのでホストファミリーの白人家庭にホームステイをしていたのですが、その地域は中~上流階級の人たちが住んでいる地域でした。
そこで現地の公立高校に通っていましたが、比較的メキシコ人系を中心としたヒスパニック系が多いところだったので、
学校の70%が白人、25%がヒスパニック系、5%が黒人、他の0.数%がアジア系でした。
ちなみにこの人種の比率も学校のHPから見れるようになっていて、そこもアメリカ特有だなと感じたところでした。
アジア系の0.数%の中でも日本人は更に少数で、現地の生徒として通っている子が1人と留学生の私の2人しかいませんでした。
私の学校は日本に興味がある子が多く、ホストシスター(日本大好き)も通っていた為、基本的に私は白人系の友達とずっと過ごしていました。
ただ、周りを見渡すとヒスパニック系はヒスパニック系同士、白人は白人同士で固まっていて、やはり人種によって固まりやすい傾向はあるように感じました。
ちなみにこういったアメリカの高校でのグループは“tribe”と呼ばれていて、
チアリーダーなどをはじめとするキラキラ系の”Preps”やスポーツマン系の”Jock”、オタク系の”Nerds”など色んなグループに分けられています。
これを鑑みると確かに、日本に興味がある!という子以外だとヒスパニック系やアジア系の有色人種系の子の方が仲良くしようとしてくれていた記憶もあります。
他に感じたものだと、授業のディスカッションで同じグループになると話したこともない子に見た目(アジア系)から判断されて、あからさまに嫌そうな顔をする子もいましたし、
どうせ英語がしゃべれないんでしょ。といった態度を取られることもありました。
良い面(?)の差別では白人の友人が「アジア人の子は何か一つ必ず秀でたもの(例えば数学が得意など)がある」と言っていたこともあり、
わたしもなにか特別な能力があるのかと期待されていました。笑
アメリカでの人種のヒエラルキー
これは大分前の話になるのですが、ニューヨークに行った時に明らかな職業による階級差別を感じ衝撃を受けました。
それは、ホテルの受付などの「顔」となるところには白人・黒人・アジア人(日系もしくは日本人・中国人?)、
外の道で呼び込みなどをしているのは黒人、
タクシーやベッドメイキングなどはヒスパニック系などしかいない事に気が付いたからでした。
逆に清掃やベッドメイキングなど、一般に人気とは決して言えなかったり低収入の職種には白人が働いている所は一切見受けられませんでした。
数年前に行った時はヒスパニック系に加えてアジア系(東南アジア・中国系)の人も清掃員として働いていて、人種によって就ける仕事も変わってしまうのか!と考えさせられました。
これは、あくまでも私の個人的な考察なのですが、
このことから考えると、アメリカでの人種による序列は
白人>黒人≧日系・日本人・中国韓国系>ヒスパニック系≧東南アジア系
という順番になっているように感じました。
たしかにこの順序で考えれば日本人はそこまで差別の対象になる確率は高くなく、悪くないのかもしれませんが、
実際アメリカに住んでみると「白人至上主義」といった思想を持っている人も見受けられました。
そしてそういった人たちと話すとやはり「下に見られている」といった印象を受けました。
フロリダで感じた人種差別
ディズニーワールドが位置している町、フロリダ州のオーランドは、
留学時に住んでいたエリアよりも遥かに多くの黒人・ヒスパニック系が住んでいるのが見受けられたました。
ただ、フロリダ州は白人の上流階級者が建てる別荘地、定年・リタイアしたおじいちゃんおばあちゃんが住むセカンドライフを送る住宅地、
ディズニーワールドやユニバーサルスタジオなどがある観光エンターテイメントエリア、ヒスパニック系や黒人など多くの移民などが集まるマイアミなどの地域などがせめぎ合う州。
多くのヒスパニック系・黒人がいるにも関わらず、留学していた地域よりもはるかに人種差別を感じることが多かったです。
これはトランプ大統領の選挙の時も明らかで、私が留学していた地域はトランプ大統領の就任にあたって大きなデモなどを起こしていましたが、
フロリダ州はむしろトランプ大統領に投票した人がとても多かったのです。
私がディズニーワールドで働いていた場所は、ディズニーパークのうちのひとつである、エプコットの日本館という場所だったので、基本的には日本に対して好意的な人しかやってこないのですが、
そのなかでも差別的な意識を持った人にも出会いました。
たとえば、英語で話しかけているのに「私は日本語わからないから」とそもそも話すことを拒絶してくる人や、
「日本ではハエとか食べるんでしょう?」「日本と中国は何が違うわけ?」と、ある意味からかっているのかな?とも取れる質問をしてくる人もいました。
友達であっても、差別的な言動とは思わずに「日本語訛りがあるから録音してあげようか?」と言ってきたり、
日本人の顔はこうでしょ?と言って両目の端を引っ張って釣り目にして見せてきたりされることもありました。
私がされてきたものはちょっとしたことですが、人によってはバス停で待っていたのに扉を目の前で閉めらてバスに乗せてもらえなかったりした人もいました。
日本人の私でも差別を少なからず感じるのであれば、黒人やヒスパニック系の人たちは遥かに差別を感じる機会が多いように思います。
フロリダ滞在中でとても仲良くなったヒスパニック系の友達のひとりも例外でなく、
彼はディズニーワールドのキャストとして働いていたのにも関わらず、キャストのみが入れるバックステージでセキュリティの人に呼び止められ、高圧的な態度でIDの提示や職務質問的なことされたそうです。
他にも、予約していたホテルでお誕生日会をしていて、
音楽を流していたところをうるさいからと注意しにきたセキュリティが、予約した人がヒスパニックだと見るや否や「今すぐ出ていけ」と語調を強めて言われたり、ということもありました。
そこで、彼がただ単に音楽のボリュームを下げれば済むところを、折角予約していたホテルを出て行かされるのは何故だと抗議したところ、警察を呼ばれたこともありました。
これは明らかに、相手が白人だったら有り得ないことだったと思います。
日本人だからと差別されることは単に嫌がらせの様なもので済むものが多いのかもしれませんが、
やはりヒスパニック系や黒人になると本当に理不尽で生命にも関わるような危機に直面することも多いのだと実感した出来事でした。
日本人が受ける差別は海外に出て初めて分かるもの。
日本に日本人として生まれ育った自分にとっては人種が違うだけで差別されるということは今まで経験したことのないことでした。
日本でもやはり、在日韓国・朝鮮人の方や中国人、はたまた欧米の方への差別さえもあると聞きます。
海外でマイノリティになって初めてわかった差別される側の気持ち。
この経験はアメリカでの在住経験の中でも最も大切な気づきのひとつになったと思います。
また、友人でさえも差別的な言動をしてしまう事もあることを考えると、
その言動をとっている本人でさえも、何が差別と捉えられるのかがわからない。マイノリティという存在になったことがないから差別される側の気持ちがわからなくて、何が差別なのか判断できない。
ということがあるのだとも感じました。
差別されてしまうマイノリティ側に立っても、
差別をする可能性のあるマジョリティ側に立っても、
お互いの文化的背景・歴史的背景などを理解していくことが必要不可欠なのではないかとこの経験を通して感じました。
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